「くまとやまねこ」の絵本は読んだことありますか。
実は、ちゃんと読んではいなかったので、今度はちゃんと読んでみました。
(本のネタバレあり)
泣いていたくまから物語は始まります。
くまは亡くなったことりを箱を作っていれてあげると、昨日の朝の会話を思い出して涙をこぼしました。くまはことりを入れた箱を持ち歩くと、出会った動物たちにことりのことはわすれなくちゃと言われるのでした。くまは外に出かけなくなり、家にこもるようになりました。ある日、草の匂いに誘われてくまは外にでました。そこでやまねこと出会います。やまねこはくまがことりの死を悲しんでいることを知って、バイオリンを聴かせます。くまはことりとのたのしかったことをひとつひとつ思い出しました。なにもかもぜんぶ思い出しました。くまはことりを森に埋めてやり、やまねこといっしょに旅に出ることにしました。今では大人気の音楽団となって旅を続けている。
というお話です。
湯本香樹実 ぶん
酒井 駒子 え
お話の中で、「なにもかもぜんぶ思い出した」というところで、涙が溢れてしまいました。とてもいい二人の思い出でしたし、それは二度とやってこないもの。
そしてその思い出が多いほど、思い出す時間がたくさんいる。
何日でも何か月でも何年でも、ちゃんと思う時間がいる。
泣くのを我慢しないで、涙が枯れるまで泣く。
どんなに泣いても呼んでも帰ってこない。もう二度と会えないことがそのうちわかる。
そして、大事な人がいなくなった事実を受け入れる準備ができる。
順番が少し違っても、この工程を飛ばすことはできないんだ。
そして、自分は生きていることに気がづく。
あとをおったとしても、会えるかわからないんだよ。
その大事な人はわたしの中に宿り、わたしを見守っている。
だから、目をつぶって心の中で伝えることができる。
なかなか返事をしてくれなくて、しかたなく思っても
わたしは今も生きている。
「海のはじまり」では、水季とかかわった人たちはいなくなったことを受け入れられないでいた。そばに居なかった夏は水季とのことを辿り、会ったことのない弥生は水季を想像した。そばにいた人たちはたくさん水季とのことを思い出してる。そういう風になっている。人間もくまも。