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「海に眠るダイヤモンド」神木隆之介のすごさ「一瞬で役に没入できるタイプ」

俳優の 神木隆之介が主演を務める日曜劇場「海に眠るダイヤモンド」(毎週日曜よる9時~)の第2話の放送を前に、プロデューサーの 新井順子氏にインタビュー。

 

 

神木隆之介主演「海に眠るダイヤモンド」

1955年からの石炭産業で躍進した長崎県端島と、現代の東京を舞台にした70年にわたる愛と友情、そして家族の壮大な物語。戦後復興期から高度経済成長期の“何もないけれど夢があり活力に満ちあふれた時代”にあった家族の絆や人間模様、青春と愛の物語を紡いでいく。同時に、現代の“一見して何でもあるけれど若者が夢を持てない時代”を描き、過去から現代に通じる希望を見つけだす、時代を超えたヒューマンラブエンターテインメント。

 

同局系ドラマ「アンナチュラル」(2018)、「MIU404」(2020)、映画「ラストマイル」(2024)を手掛けた脚本・野木亜紀子、監督・塚原あゆ子、プロデューサー・新井が再タッグを組むことでも大きな注目を集めている。

◆日曜劇場の舞台に端島を選んだ理由「元島民のガイドさんのお話に感銘」

― 野木さんとの長崎旅行がきっかけで端島を舞台にしようと決めたそうですが、端島に目をつけた理由はありますか?

新井:旅行の時点ではこのドラマをやろうとは思っておらず、グラバー園や浦上、大浦天主堂、中華街など長崎のいろいろな名所に行って、その中で軍艦島ツアーにも行ったんです。そのときに、案内してくださる元島民の方のお話がすごく面白くて、映画館のフィルムを管理していた方が「高波にさらわれて流されちゃったんだけど、次の波で戻ってきたんだよ」と教えてくれるなど、面白おかしいお話をたくさん聞きました。

上陸して感じた圧巻さや時が止まっている感じが印象的に残っていた反面、端島を描くとなると時代ものになるし、島もこんなに再現できないだろうな、と当時は思っていました。いつだったか「日曜劇場やってみたいね」という話になったんです。日曜劇場なら壮大な物語が作れる!それなら端島でやってみようと決まりました。

◆「海に眠るダイヤモンド」キャスティング秘話

― キャスティングでこだわった点を教えてください。

新井:主人公の鉄平と玲央を演じる神木さんは制作陣の中ではすぐに決まり、ご本人とかなり長いこと話し合いを重ねてやってもらえることになりました。朝子役の杉咲花さん、リナ役の池田エライザさん、百合子役の土屋太鳳さんは、顔や雰囲気の違いがはっきりわかるような人を探していました。リナ役は歌えなければいけなかったので、歌えてお芝居が上手な人ということで池田さんにお声がけしたんです。地上波のGP帯のドラマにあまり出ていらっしゃらないので断られるかと思っていましたが、お父さんが端島の隣の高島出身だそうで、すぐにOKが出たので驚きました(笑)。杉咲さんと土屋さんはお二人が学生の頃にご一緒したことがあって、またやりたいという思いがあり、今回お願いしました。斎藤工さん(進平)は、いつもお声がけしているのですが、なかなかスケジュールが合わなかったので、ようやく実ったという感じです。清水尋也くん(賢将)は、野木さんが「清水くんが合う」というイメージがあったようで、神木さんとは年齢が少し離れているかなと思ったのですが、違和感がなかったです。実際に皆さんが本当に仲良しでずっと喋っていて、現場作りも含め、良いキャスティングだったと思います。

 

さだまさしさん(和尚)は長崎出身なので欠かせないと思いまして、お伝えしたら「やるよ」と言ってくださいましたし、宮本信子さん(いづみ)にはお手紙を書かせていただいて「なんとかご一緒したい」という思いを込めてお願いしたので、念願叶った皆様に集まっていただけています。

― 炭鉱夫役のキャスティングに苦労したとのことですが…。

新井:長崎もしくは九州出身の方をとにかく探しましたが、長崎出身でガタイのいい人がなかなかいなくて、苦労しました。実際にもいろいろなところから集まっていると聞いたので、キャスティングした人には「自分の地元の言葉で喋ってください」とお伝えしています。

神木隆之介のホスト役は「すごくリアル」

― 神木さんにとって初のホスト役だと思いますが、お伝えしたときはどのような反応でしたか?

新井:「見たことのない神木さんを作りたい」と、ホスト役になりました。企画書をお渡しして、その後初めてお会いしたときには、すでにホストの動画を研究してくれていました。すごく詳しくて、「こんなホストのイメージですか」「この人知ってますか」と私の知らない人も教えてくれて、熱心な方だなと感じたのを覚えています。

― 実際に演じられている印象をお聞かせください。

新井:ロケにご協力いただいたホストクラブの方に、具体的な声のかけ方などを取材されていて、それを実践していたのがうまいと思いました。1話で、女性に声をかけて無視されて「ケチー」と言うシーンがあるのですが、すごくリアルだなと。実はあの日は、夕方まで鉄平のシーンで、夜だけ玲央のシーンだったんです。鉄平は「頑張るぞ!」という前向きな感じなのに対し、玲央は全部を無にしてとにかくだるい感じなので、切り替えが大変だったと言っていたのですが、見事にやられていました。一瞬で役に没入できるタイプなので、スイッチがすごいです。

 

また、お芝居が自由な方で、台本に書いていない行間を埋めてくれるようにいつもアイディアを出してくれます。1話で鉄平が父・一平(國村隼)と言い合いになるシーンで靴下を投げていたのですが、あれも神木さんが考えて、國村さんにだけ伝えていたようで、どうしたら面白くできるかをずっと考えていらっしゃる。ホストに関してもいろいろお家で研究されて、アイデアを持ってきてくれてるんだろうなと思います。

King Gnu「ねっこ」は新井順子Pのこだわり

― 新井さんは役名を姓名判断にかけたりとこだわっている印象ですが、今回の役名はどなたが決めたのですか?

新井:今回は野木さんが全部決めました。たまにこれまで出てきた役と同じ名前のときがあって「この役は『アンナチュラル』のあの役と同じ役名ですよ」とお伝えすることも(笑)。

― 今作で絶対に譲れなかったこだわりはありますか?

新井:今回の主題歌は、従来の日曜劇場らしいノスタルジーな感じではなく、ロックで力強い声が良いと思い、King Gnuさんにオファーしました。常田(大輝)さんにもお会いして、打ち合わせもさせて頂きました。とても台本を読み込んでくれて作ってくれて。1回目のデモと2回目のデモで、曲のタイトルが違っていて、どんな心境の変化があったのか聞いてみたいですね。

◆「海に眠るダイヤモンド」撮影の裏話「スタッフの工夫・技でリッチに」

― 1話の撮影で大変だったことをお聞かせください。

新井:端島の階段がある端島銀座というところはすべてセットなのですが、あれを長期間、安全に建てられる場所を探すのが大変でした。「メガネ」と呼ばれる、鉄平と進平がサイダーを飲んでいた海沿いの場所もセットを建てています。撮影に関してはVFXが多くて、端島は緑なき島なので、ロケ先に苦労しました。長い間使っていない場所に行くと、草がいっぱい生えてるので、みんなで1日かけて草をむしるとか、リナが歌っているシーンなどはエキストラさんが300人ぐらい集まってくれて、着替えるだけでも2時間かかるような撮影が毎日行われています。ワンカットのために何時間もかけてこだわり抜いた場面が多いので、端島の町を想像しやすくなったと思っています。

 

毎日のようにトラックが6台ほど来たりと、美術さんは本当に大変で、頭がさがります。この間は3連休に静岡に行って大渋滞にハマって移動に5時間半かかったのですが、到着すると「ここでしか撮れなかったね」と思える場所なので、スタッフ、キャスト含め「やるしかない」っていうスイッチで頑張っています。「映画並みですね」とみんなに言われますが、スタッフの工夫や技によってリッチに撮れています。

― 2話の予告では台風の様子が描かれていますが、撮影でのエピソードをお聞かせください。

新井:これもすごく大変でした(笑)。「何トンの水を使ったのだろう」というぐらい、大きなプールに水がたくさん溜まっていて、端島銀座全体に降雨を再現する装置の設置には丸一日かかりました。

ザバンと水がかかる場面があるのですが、あのシーンはドラム缶を5つ使った装置を作って、「よいしょ」とやってました(笑)。撮影は8月でしたが、あれだけ濡れると寒くて、足湯しながら撮影してました。

◆「海に眠るダイヤモンド」は“70年の愛の物語”

― 1話を観て、物語の進んでいく方向やゴールが読めなかったのですが、どのようになっていくのでしょうか?

新井:いろんなグラデーションがありまして…(笑)。前半の青春感から、「こうなっていくの?」という中盤、「そういうことかー!」という後半、色々な味わいがあって、野木さんらしい感じになっています。

― 今作は明るく温かみのある印象を受けました。そのような作品全体の雰囲気はこだわられているのでしょうか?

新井:サスペンスな部分もありますが、エンタメにしようという気持ちがあります。今までやってきた作品は事件などを描いていたので結果的に重い社会的テーマを扱っていたのですが、今回は事件ものではないので、基本的には日曜劇場らしい人間ドラマを描いていきます。

1話はハッピーな感じですが、そこからいろいろなことが起きて思いもよらぬ方向に走っていってしまう、激動の人生が描かれていきます。70年の愛の物語です。

一人二役が鍵だと思うのですが、今後どうなっていくのでしょうか?

新井:推測してください(笑)。すごく難しいですが、最終回まで観たら「そこか」と一人二役の意味がちゃんと分かると思います。

◆「海に眠るダイヤモンド」新井順子P、視聴者に期待すること

― 視聴者の反応は見ていますか?

新井:見ます。「ここがわかりづらいんだな」と感じたら、ナレーションを足したり台詞を追加したりしたことも。神木さんもよく言っていますが、本当にいろいろな要素が入っているちゃんぽんドラマなんです。誰が主役になってもいいストーリーなので、誰かに共感してもらえたら良いなと思います。家族と観てもいいし、考察しながら観てもいいし、別に考察しなくてもいい。父と息子の関係に興味がある人もいれば、ラブストーリーに興味がある人もいると思うので、自分の好きなジャンル、パートを追っていってほしいです。

― 物語全体の繋がりや伏線を考えているのはどなたですか?

新井:もちろん野木さんです。現代を入れようと言ったのは塚原さんだったと記憶しています。この作品の前に、3人で合宿をしたんです(笑)。映画を観ながら喋ったりして、企画会議をやりました。

◆「海に眠るダイヤモンド」新井順子P、視聴者へのメッセージ

― 野木さん、塚原さん、新井さんのチームへの期待が集まっていると思いますが、プレッシャーはありますか?

新井:「今回はイマイチだったな」って言われるとちょっと悲しいし、この3人でやる日曜劇場は初めてなので、ドラマ「アンナチュラル」、「MIU404」、映画「ラストマイル」とはまた違うジャンルを見ていただいて、「こっちもいけるね」「違う世界が広がった」と思ってもらえたら嬉しいです。

― 最後に、視聴者にメッセージをお願いします。

新井:過去パートで描かれた内容がどう現代に結びついてくるのかが、見どころだと思います。過去編には、それぞれ全員が主役みたいな登場人物がいて、玲央がそれぞれの人生を知って、過去からのメッセージを受け取ってどう行動していくのかっていうのを見ていただきたいです。

― ありがとうございました。

(modelpress編集部)

◆「海に眠るダイヤモンド」第2話あらすじ

現代。いづみ(宮本信子)は一体何者なのか、自分に似ているという “忘れられない人”とはどんな人物なのかが気になる玲央( 神木隆之介)。そんな玲央にいづみは、かつて想いを寄せていた鉄平(神木)のこと、そして島での複雑な“恋模様”について語り始める。

1955年9月。端島では、リナ(池田エライザ)のことを気にかけて遊びに誘う鉄平を、複雑な思いで見つめる朝子(杉咲花)の姿が。朝子の鉄平への気持ちに気付いているリナもまた、自分へ向けられた鉄平の好意をかわしながら、複雑な思いを抱えていた。

一方、端島生活用水を引く海底水道計画の検討会に参加する賢将(清水尋也)に連れ立って、長崎を訪れた百合子(土屋太鳳)は、アメリカ生まれの“スクエアダンス”と出会い、気に入って端島に持ち帰る。すぐさま同好会を設立するべく、鉄平、朝子、賢将、リナを集めて練習に取り掛かる。その頃、端島には大型の台風が近づいてきて…。

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引用記事:

新井順子Pが語る“神木隆之介のすごさ” 自らホストに取材・1話にアドリブシーンも「一瞬で役に没入できるタイプ」【「海に眠るダイヤモンド」インタビュー】 - モデルプレス