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香取慎吾 新アルバムに込められた思いなどを語る

香取慎吾が11月27日、3rdアルバム『Circus Funk』をリリースする。香取のアルバムといえば、新進気鋭の若き才能からベテランまで、「香取慎吾だからこそできた」と言える豪華なゲストアーティストとのコラボが大きな魅力。今作も我々の期待を大きく上回る顔ぶれが揃った。

またタイトル曲「Circus Funk(feat. Chevon)」は香取が主演する新ドラマ『日本一の最低男 ※私の家族はニセモノだった』(フジテレビ系)の主題歌にも決定。さらに、このアルバムを携えて12月3日、4日には東京・国立代々木競技場第一体育館で初のアリーナフェス『“Circus Funk” Festival』を開催するなど、改めてマルチに活躍する香取のエンターテイナーっぷりを見せつけられる展開だ。

 

香取慎吾、アリーナフェスに初挑戦! 若手アーティストとの対面、思わず痺れた中森明菜の言葉……新作アルバムの裏側も© Real Sound

 

今回、新アルバムに込められた思い、音楽を通じて生まれた新たな出会いと嬉しい再会、そして夢の実現について語ってくれた香取。その新たな挑戦を楽しむ姿に、自らが光り輝く国民的アイドルでありながら、エンタメの可能性を開拓せずにはいられない、香取慎吾として生まれた運命(さだめ)すら感じた。(佐藤結衣)

■とにかく踊って叫んで楽しいものを作りたいという思いから生まれた『Circus Funk』

――今回のアルバム制作はいつごろからスタートしていたのでしょうか?

香取慎吾(以下、香取):実は、それが曖昧で。6曲目に収録されている「UNERI KUNERI(feat. Kroi)」は、もう去年にはあった曲なんですよ。「一緒に何かしたい!」って声をかけて、曲を作ったはいいものの、「ちょっと取っておこう」みたいになってて(笑)。Kroiとリモートを初めて繋いだのは、それこそ去年の11月に「BETTING」を歌わせてもらった『ベストヒット歌謡祭2023』(読売テレビ)の楽屋でしたから。

――すごいですね! 楽屋では本番に集中して過ごされているのかと思ったのですが。

香取:我ながらいっぺんにいろんなことしてますよね。でもやっぱり、そういうのってタイミングだったりするから。スケジュールが合わないときって本当に合わない。だから「会うのは難しいけど、リモートだったら今いける? よし。じゃあ、やってみようか」って。それでよく見るのが、リモート画面越しに「はじめまして。うわー、本当に香取慎吾だー!」みたいなリアクション(笑)。でも、僕のほうも顔を合わせるまでにお相手の楽曲をすべて聴き込んでいて、HPとかSNSとかも見てすでにファンになっているから。こっちこそ「うわ、Kroiだー!」って!

――お互いにとって幸せな時間ですね! それにしてもアルバムでのコラボもそうですが、草彅さんとのラジオ『ShinTsuyo POWER SPLASH』(bayfm)のミュージックセレクションでも、いつもフレッシュなアーティストの名前を挙げられていますよね。どうやってキャッチアップされているんでしょうか?

 

香取:新しい音楽との出会いは絵を描いているときが多いですね。ずっとサブスクのプレイリストでいろんな新しい楽曲を流しながら描いていると、耳がこう、ピクピクッと!「え、今の誰?」って。そうなったら筆を止めて、その曲からアーティストに飛び、他の曲を聴き、さらに「いいじゃん!」ってなったら、その人たちのHP、SNSに飛んでいく……って感じですね。それこそ「Circus Funk」を作ったChevonとの出会いもそうでした。「この曲いいじゃん」「へー、Chevonっていうんだ」「札幌在住なんだ」って思ったら、ちょうどファンミーティングで札幌に行くタイミングで。朝、札幌のホテルでChevonの曲を流しながらお風呂に入っているときに「あれ、ここの街のどこかにChevonが住んでるのか」って思って! 会場に向かう車の中で、コーディネーターの方に「Chevonって知ってますか? 会えないですか?」って聞いたんですよ。そうしたらファンミーティングが終わって楽屋に戻ったら、もうChevonの3人がいました(笑)。

――すごいスピード感! Chevonのみなさんも驚かれたんじゃないですか?

香取:それこそ「うわ、香取慎吾じゃないですか!」って言われて、僕も「うわ、Chevonじゃん!」って! それで「あの曲いいね、あれもカッコいいし」っていう話の流れで、「アルバム作りたいから、一緒に曲を作りたいんだけど」って本題を伝えたんですけど、「ちょっと待ってください! 何を言ってるのか、もうわかんない(笑)」って言われましたね。

――その勢いが宿っているのか「Circus Funk」を聴いた瞬間に、ライブ会場が湧くイメージが浮かんできました。

香取:とにかく“サーカス”に“ファンク”したかったんですよ。僕がソロでアルバムを出して、ステージに立ち始めたのってコロナ禍だったんですよね。ステージでみんなと会えるってなかなか大変な道のりだったし、個人的にはグループから1人でステージに立つっていう新たな始まりでもあって。1st(アルバム『20200101』)も2nd(アルバム『東京SNG』)も「また頑張っていこうね」みたいなアルバムだったから。いわゆる「コロナ禍」って呼ばれていたときとは時代が変わってきたとするならば、とにかく踊って叫んで楽しいものを作りたいっていうのが、この3rdアルバムにはありました。2ndアルバムでヒグチアイちゃんと作った「ひとりきりのふたり」って曲が大好きなんですけどね。「いや、違う、今回はこういうテイストじゃない」って自分に言い聞かせながら。とにかく1曲ずつバキバキに弾けていくのを作っていこうと!

■思わず痺れた中森明菜の言葉「香取くんに呼ばれて来ない選択肢はない」

――そういう意味ではリリース情報からテンションの上がるラインナップでしたね。バンマスとして前回のツアーを支えてきた村田陽一さんの名前には、NAKAMAのみなさんの喜ぶ声が聞こえるようでした。

香取:ですよね。村田さんはやっぱり「信頼の!」なので。さっき「バキバキに」とは言いましたけど、村田さんとの「Full Moon」は、サーカス小屋のピエロが1人でジャズを歌っているイメージでちょっとだけしっとりしてます。実はこの曲は僕も歌詞を書いているんですよ。なんとなく英語の曲にしようかなとは思ってたんですけど、「だったら自分で書いてみる?」って話になって。

――そして、やはり中森明菜さんの名前には驚かされました。

香取:僕もね、レコーディングの日の到着5分前くらいまで「ホンモノが来るのか?」ってソワソワしてたくらいなので(笑)。もともと「TATTOO」が好きで、いつかカバーしたいと考えていたんです。そのいつかが、今回のアルバムなんじゃないかと。そこで、まずはカバーをさせてもらいたいってお声がけしようと思ったんですけど、ちょうど明菜さんがYouTubeで久々に歌っている姿を公開していたタイミングで。「もしかして、ご一緒できないですか?」と思い始めてしまったんですよね。その勢いで自分の思いを伝えさせてもらったら「ぜひ!」ってお返事がきて。自分で頼んでおきながら「本当に?」って。

そうなったらオケもリアレンジしようと、こちらもいつかお願いしたいと思っていたSOIL&"PIMP"SESSIONSに声をかけることに。「中森明菜さんと一緒に『TATTOO』をやるんで、一緒に曲を作ってください」って連絡をしたら、彼らも「それ本当の話ですか?」って!

――全員が夢を見ているような。

香取:本当に! 僕は明菜さんと何度もお仕事でお会いしてはいるんですけど、それでも久々だったので。曲を作り、明菜さんサイドとキャッチボールをして、いざレコーディングの日にお会いしたときも「なんで来てくれたんですか?」って聞いてしまったくらいでした。そしたら明菜さんに「いやいや、香取くんに呼ばれて来ない選択肢はない。ずっと応援してたから」って言われて……いやぁ、痺れました。

――こうして聞いていても鳥肌が立つエピソードですね。今回はさらにタイトル曲の「Circus Funk」が主演ドラマ『日本一の最低男 ※私の家族はニセモノだった』の主題歌になるニュースも飛び込んできて喜びが倍増でした。

香取:そうなんですよ。さっき草彅さんとラジオの収録でも話していたんですけど、「ドラマの主題歌も歌うんでしょ、すごいね。もう織田裕二さんじゃん!『踊る大捜査線』で『Love Somebody』みたいじゃん!」って(笑)。

――ちょうどフジテレビですしね。

香取:そうそうそう。草彅さんは自分が主演したドラマの主題歌をグループとして歌ってきたけど、ソロでっていう経験はなかったから。「すごいよ」って言ってくれました。

■「NAKAMAを募ってフェス」という夢が実現、そしていつかは……

――今回のアルバムは、いくつもの出会いと再会がタイミングよく進んできたように思いますが、逆に苦労した点はなかったのでしょうか?

香取:もちろん、大変だった場面もたくさんありましたよ。1曲目の「COLOR BARS」っていうヒューマンビートボックスをやっているSHOW-GOをフィーチャリングした曲は出来上がるかわからないところまでいきました。彼とはInstagramのDMからやりとりをスタートしたんですけど、本当に個人的にやっている感じで。レーベルもなければ事務所もないから、本人が連絡を返してくれないと誰も捕まえられないんですよね。でも、会ったときには「連絡がとても遅くなってしまって誠に申し訳ありません」って深々とお辞儀するような丁寧な子なんですよ。

今回のアルバムには、絶対に1曲目にSHOW-GOの曲が必要だったんです。「絶対に必要なんだ、君が!」って強く伝えて。そしたら「ありがとうございます、頑張ります」って、折れかかってた心を奮い立たせてくれて。もう最後はスタジオで一緒に、歌詞を1行書いてはブースに入って録って……みたいな。今回のアルバムの中で一番ラストにギリギリ出来上がった思い出の曲です。

――まるで文化祭の前日かのような雰囲気ですね。

香取:本当、そんな感じでした。あえてそうしようとしているわけではないんですけど、僕の耳がサーチしたアーティストたちが、自分よりも年齢が若くなってきているから、やっぱり気にするところもあるんですよ。あまり強く言いすぎたら、遠慮したり、萎縮しちゃうかな、とか。でも、今回コラボしたみんなは、そんなこと気にしすぎだったっていうくらい簡単には引き下がらないメンバーが多かった。「あそこ、もっとこうしたいんだけど」って言ったら、「いや、それはこうしたいです」って。「なんで?」って聞くと、「こうこうこういう理由で、こうだから。こっちのほうがいい」って、ちゃんと自分を持ってるの。だから、いいぶつかり合いができたなって。

アルバムのコラボ相手って毎日一緒に過ごすわけではないけれど、一緒に曲を作るってすごく大きなことで。僕からしたら本当にNAKAMAができたっていうぐらいの絆ができるんですよね。

――12月3日、4日に国立代々木競技場 第一体育館で行なわれる『“Circus Funk” Festival』にもNAKAMAとなったゲストの方々が登場されるとお聞きしました。こちらもとても楽しみです。

香取:アルバムを作るたびに仲間が増えていくから、いつかみんなを募ってフェスができたら楽しいだろうなと思ったんです。今回は3日に8組、4日に7組のアーティストが来てくれることになりました。でも実際にやるとなったら課題が山積みで……。曲と曲の間って書いて曲間(きょっかん)って言ってるんですけど、その曲間が数秒、ときには0.5秒単位で盛り上がりが変わってくるんですよ。僕が今まで作ってきたライブって、そういう曲間をすごく大事にしてきたんです。でも、フェスとなるとバンドごとにセットを全部変えて、音響を調整しなくちゃいけない。これは本当に初の試みで。どこまで僕の今までの感じでフェスが作れるかっていうのは、自分でもどうなるのかわからなくて、ワクワクしているところです。

――新しい流れとしては、今年は稲垣吾郎さん、草彅剛さんとともに新しい地図を広げて以来初めて3人で音楽番組『with MUSIC』(日本テレビ系)にも出演されましたね。そこでは草彅さんの「東京ドームでコンサート」発言もありました。

香取:あれはビックリ発言だった! でも時間が経ってみると、あの人のあの感じで言われたら「あれ、これ、あるんじゃないか?」みたいに思えてくるんですよね。言葉の力というか。でも、僕は絶対にそんなこと言えないけど。言わずに叶えていきたいほうなんで(笑)。僕自身は、やりたいとかやりたくないとかっていうより、東京ドームでコンサートなんて、もう考えてもいなかった。

――そうなんですか? 昨年1月に東京・有明アリーナで開催されたライブ『Black Rabbit』のMCで、東京ドームのステージに手をついてマイケル・ジャクソンに「1回ステージから降りるね」と伝えたというお話をしていたので、いつかまた立つぞという決意があったのかと。

香取;ううん。それは全然思ってなかった! だから、本当にあの発言にはビックリしたんですよ。だって、東京ドームでコンサートってやっぱり大きなことじゃないですか。特別な場所だし。「簡単に言うなよ~」と思ったけど、最近はちょっとだけ「ん? これはいつかあるのかも?」なんて(笑)。みなさんと同じ感覚で、そんな未来が来たらいいなって楽しみにしています。

(文=佐藤結衣)

 

 

引用記事:

香取慎吾、アリーナフェスに初挑戦! 若手アーティストとの対面、思わず痺れた中森明菜の言葉……新作アルバムの裏側も