女性に比べ、認知度が低いという男性の「更年期障害」。
タレントのヒロミさんは、50代に入り不調を感じることが多くなり、周囲の勧めから受診したところ「更年期障害」と診断されたという。
最初は体調の異変を話すことに躊躇があったというヒロミさんだが、更年期の受け止め方、ライフステージとの向き合い方など、自身の経験について話をしてくれた。
息苦しさ、不安感じるように
更年期症状の始まりについて、あまりよく分からないまま、異変を感じたというヒロミさん。
ヒロミさん:
50過ぎてからだと思います。
どこっていうタイミングはわかんないですけど、ちょっと何かふらっとするとか、ネクタイしていると息苦しいとかっていうのを感じるようになって。
男性の場合って、自分のホルモンのバランスとかをあまり気にしないんですよ。
身体の変調が女性と違って、日々こうあるわけじゃないじゃないですか。
また、身体的な異変に加えて、精神的不調も感じていたという。
ヒロミさん:
緊張、元々しないんですよ。どんな仕事してても。
それが一瞬ちょっとこう、不安症って言うんじゃないけど、なんかがあったときに急に不安っていうかね。
本番ギリギリまで何でも無かったのに、本番前にちょっとむせるとか、しゃべろうと思ったら噛んだとかね。噛むって別にたいしたことじゃないじゃない。それがあれ?なんで今噛んだんだろうな、変な話、ろれつ大丈夫なのかなとかね。
大丈夫かなと思ったら、それで動悸がしてみたり。
妻・松本伊代さんに「話すのも時間かかった」
異変を感じるようになっていたヒロミさんだが、妻・松本伊代さんにさえ、打ち明けることに時間がかかったという。
ヒロミさん:
(不調を感じても)ごまかしながら過ごしていたけれど、だんだんこれ何なんだろうなと…。
僕は汗なんてほぼかかないのに、ちょっと汗かいてみたりとか。
これはちょっと身体おかしいなっていっても、うちの奥さんにも話するのにだいぶ時間かかったんですよ。
さらに、「得体の知れない恐怖感や不安感について、男性は言いづらいのでは」と語る。
ヒロミさん:
負けたくないっていうのと、頑張っているから。
50代って、最後の頑張りみたいな位置だったり、自分が後輩に渡していかないといけないとか、この先、定年になって第二の人生とかって色んな狭間があって。
でも身体は元気だし、まだ頑張れるとかっていう心のバランスが結構ずれる時期だと思って。
同世代のすすめから医者を受診
そんななか、同世代の人達との会話で受診を勧められたことが、更年期に気付くきっかけとなった。
ヒロミさん:
同世代の人達と、俺こういうのあんだよな、なんていうのを話していたら、「いやそれヒロミさん更年期ですよ」「男にも更年期ってあるんですよ」と言われて、「そういうお医者さんもいるので一回行ったらどうですか」って言われて行ったんですよね。
ヒロミさん:
お医者さんに行って検査したら、ホルモンのバランスですねって。
これ男性更年期ですよって言われて。で、薬を頂いてそれを飲んでたら、もうほんとに不思議なくらい(症状が)無くなったんですけど。
認知度が低い男性の「更年期障害」
男性の更年期障害は認知度が低いことから、不調を感じでもすぐに医療機関を受診できない男性が多いことが課題だ。
厚生労働省による「更年期に対する理解」についての男性への調査によると、「よく知っている」が約12%だったのに対して、「詳しく知らない」「知らない」と回答した人は、9割近くにのぼった。
また順天堂大学医学部附属浦安病院泌尿器科・辻村晃教授によると、男性更年期障害は発症する年齢幅が広く、始まりと終わりの時期がはっきりしない難しさがあるという。
男性更年期「3つの症状」とは
辻村教授によると、症状は大きく分けて3つある。
「身体の変化」「精神面の変化」「性機能の低下」だ。
体力低下や睡眠が取りづらいといった身体的な変化や、「鬱」や「イライラ」するなどメンタルの安定が保てないこと、男性力の低下が主にあげられる。
こうした男性更年期の症状が出る要因は、テストステロンという男性ホルモンが減少するためで、辻村教授は、「ものすごい社会的なストレスを受けた時など、突然テストステロンが急激に落ちるということがある。その時に更年期の症状が一気に出ると言われています」としている。
予防策の1つは、「趣味を持ち、楽しいことをする」ことだ。好きなスポーツチームが勝って喜んでいる時など、笑っている時の方がテストステロンが上がるのだという。
「すごく嬉しかった」更年期の受け止め方
更年期障害を認めたくないと感じる人も多いようだが、ヒロミさんは、医師から診断を受けたことが「すごく嬉しかった」と話す。
ヒロミさん:
すごく嬉しかったというか、原因がわかったから。
ホルモンのバランスでそういう風になったんだって言われて、原因がわかってちょっとほっとしたんですよね。
人にもなんか調子が悪いと、俺、更年期だからそういう時あんだよねっていうのも話せるようになったし。
また、更年期障害を公表するハードルは、意外にも高くなかったという。
ヒロミさん:
(更年期障害を公表することに躊躇は)無かったですね。僕は変な話、分かって嬉しかったから。ある程度の年になったら、やっぱりホルモンのバランスは、男の人、女の人、関係なく崩れるんだなって思って。
周りの先輩に聞いても、やっぱみんな、ちょっとおかしかったっていう時期はあったって。ほんとにさんまさんだけ。無いなっていうのは。
覚症状あれば泌尿器科で受診を
病名が分かったことが、一番の安心感につながったというヒロミさん。
実際にいま体調の変化を感じている人達に伝えたいことを聞いた。
ヒロミさん:
僕は受診して病名がわかったっていうのが、一番の安心感だったんですよね。
わかんないといつまでも悩んじゃうから、僕がなるような症状があったりとかしたら、受診されたら良いと思いますね、ほんとに。
受診に加えて、周囲に状況を話すことでも気持ちが楽になったという。
ヒロミさん:
奥様とかパートナーとか、皆さんに今こういう状況なんだっていうのを話しても、僕は良いと思いますね。僕は凄い楽でしたよ。それは。
男の人は、恥ずかしいとか強い自分でいたいなんていう方も多いと思いますけど、お話しされたら気も楽になりますし、僕はそれも良い薬だと思います。
誰にでも起こりうる更年期。
前出の辻村教授は、「恥ずかしがる必要もないですし、泌尿器科を受診いただいて、まずは、テストステロンを測定してみるというのをおすすめしたいと思います」と話す。
男性自身と社会が男性の更年期について知り、体の変調について理解を深めることが大切だろう。
引用記事:
【告白】「得体の知れない恐怖感」ヒロミさんが直面した“男性更年期障害”…妻・松本伊代さんにも「話すの時間かかった」|FNNプライムオンライン