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「海に眠るダイヤモンド」視聴率が悪いのはなぜか。神木隆之介、杉咲花、斎藤工、沢村一樹、宮本信子


 12月1日に第6話が放送された日曜劇場「海に眠るダイヤモンド」(TBS)の視聴率が、とうとう7%を割った(ビデオリサーチ調べ、関東地区・世帯:以下同)。二桁が当たり前の看板ドラマ枠で、主演は神木隆之介(31)、スタッフにはヒット作連発の実力派が揃っていたのに……。

 デイリー新潮は9月19日配信の「『ドラマのTBS』復活か? 『アンナチュラル』『MIU404』を手がけた最強トリオが『日曜劇場』登場で他局は戦々恐々」で、「海に眠るダイヤモンド」に最強スタッフが揃ったことを報じた。民放プロデューサーは言う。

「脚本の野木亜紀子、演出の塚原あゆ子、プロデューサーの新井順子は、TBSの『アンナチュラル』と『MIU404』、そしてロングラン上映中の映画『ラストマイル』を興収50億円超の大ヒットに導いた最強トリオです。その3人が、話題作を連発している日曜劇場で組んだ。しかも、NHKの朝ドラ『らんまん』や映画『ゴジラ−1.0』が立て続けにヒットした神木を主演に据え、杉咲花(27)、土屋太鳳(29)、斎藤工(43)、宮本信子(79)、沢村一樹(57)という超豪華布陣ですから、他局から見ても“大成功”しか予想できませんでした。今頃、TBSのスタッフは『こんなはずじゃなかった』と顔面蒼白だと思います」

 10月20日の初回の視聴率は11.0%だった。

「地上波離れが進んだ今では好発進と言っていいでしょう。翌週27日は日本シリーズ衆院選があったので放送休止。11月3日の第2話は日本シリーズの中継でスタート時間が30分繰り下げられたため視聴率は9.3%に下がりました。まあ、これくらいはよくあることと思われました」

 ところが、第3話は7.0%、第4話は7.5%、第5話は7.4%、そして第6話で6.7%まで落ちたのだ。

 

狙いは良かった

「1993年4月期から連ドラ枠となった日曜劇場では、これまで120本以上のドラマが放送され、平均視聴率が一桁を記録したのは14本だけ。歴代ワーストは2014年1月期の『ごめんね青春!』の7.7%ですが、『海に眠るダイヤモンド』の第6話はそれを下回りました。このままの数字が続けば、歴代ワーストを更新する可能性があります」

 それでも、ドラマの作りは悪くないという。

「舞台は1955年の長崎・端島、いわゆる軍艦島ですから、世界遺産という知名度があり、時代設定で数字を持っている団塊の世代を狙ったのも悪くない。そこに現代の東京が加わり、過去パートと現代パートが神木を通じてリンクするという構想は、若者世代を狙っていて優れていると思います。炭鉱労働者のエキストラもふんだんに使い、端島を蘇らせたセットも撮影技術も日曜劇場らしい重厚さに溢れています」

 ではなぜ、数字が上がらないのだろう。

SNSに書き込まれた視聴者の声を見ると、当初多かったのは『現代と過去の繋がりがわかりにくい』というものでした。一方で『宮本信子は過去パートの誰なのか?』と楽しみにしている声もありましたが、それが第5話で杉咲だったことが判明すると『考察の楽しみが減った』と……」

 わがままなものである。

「加えて、長崎の原爆投下や炭鉱での労働争議などに共感できる世代が少なくなったことも視聴率が下がった一因でしょう」

 だが、最大の要因は別にあるという。

 

油断大敵

「スタッフが放送前から油断していたのではないかと思います。脚本の野木さんが放送前に答えたインタビューを読むと、旅先で思いつき温泉で話し合ったなど、緊張感がまるで感じられません。すでに勝った気分でいるかのようでした」

 このインタビューは「海に眠るダイヤモンド」のTBSの公式ホームページにも残っている。

《2018年に『アンナチュラル』で市川森⼀脚本賞の副賞としていただいた長崎旅行に新井順⼦プロデューサーと⼀緒に行った際に、当時の県知事が「ぜひ⻑崎を舞台にしたドラマを」とおっしゃられていたんです。映画のあとに同じ3人で何を作るかというときに、ふと長崎旅行のことを思い出して。「端島が舞台の物語なら日曜劇場になるんじゃないか」と言ったら、新井さんが「ある気がする! 家族も描けるし!」と乗ってきた。じゃあどういう話にしようかという部分は、映画の撮影が終わった打ち上げも兼ねて、塚原さん、新井さんと一泊二日で温泉に入りにいって話し合いました。そのときに、塚原さんが「過去だけではなく現代のストーリーも取り入れて、映画『タイタニック』で、ヒロインのローズが過去語りをするような構図にできないか」とアイデアを出してくれたんです。》

「なんだかユルい。もちろん、そういうノリで当たるドラマもありますが、どうすれば視聴者が喜ぶか、全身全霊で挑まなくては成功は覚束ないものです。相手は視聴率という魔物なのですから。これまで通り上手くいって褒められることしか考えていなかったのではないかと思ってしまいます」

 まさに油断大敵である。

 

「それでも、このキャストとスタッフで盛り返せないはずがないと期待しています。全10話として残り4話、視聴者を楽しませてもらいたいです。今期の日曜ドラマは、テレビ朝日の『マイダイアリー』(ABCテレビ制作)が歴代ドラマ史上のワースト視聴率を、日本テレビの『若草物語―恋する姉妹と恋せぬ私―』が放送枠史上のワースト視聴率を更新しそうな酷い状況で、ドラマ好きには日曜夜が壊滅状態なのです。伝統の日曜劇場なのですから、昨年7月期の『VIVANT』のように最終回で巻き返すことだってできるはずです」

 

 

引用記事:

「海に眠るダイヤモンド」スタッフやセットは“超一流”でも視聴率は“過去最低レベル”の理由(写真5) | デイリー新潮