米国のプロテイン・サプリメント市場規模は、2023年に97億ドル(1ドル155円換算で約1兆5000億円)を突破した。しかし、広く消費される市販のプロテインパウダーは、あなたが思っているほど健康的ではないかもしれない。
米国の非営利組織Clean Label Project(CLP)は最新の調査結果の中で、「ポピュラーなプロテインパウダー(特に植物性の製品、オーガニック製品、チョコレート風味の製品)には、高レベルの鉛とカドミウムが含まれている可能性がある」と報告した。鉛には人体に安全な濃度はなく、カドミウムは発がん性物質であることが知られている。
今回の調査では、市場シェアの83%を占めるトップブランド70社の160製品を検査した(ブランド名は非公開)。これらの製品について、重金属やビスフェノールA(BPA)のような内分泌かく乱物質を含む汚染物質258項目、3万5862件の検査を行った。
その結果、製品全体の47%がカリフォルニア州の厳格な化学物質規制法であるプロポジション65(CA Prop 65)を含む、連邦または州の安全性規制値のいずれか一つを超えていた。さらに対象製品の21%に、CA Prop 65での規制値の2倍以上の鉛が含まれていた。
製品のカテゴリー別の検査結果を比較すると、次のことが明らかになった。
・大豆などを原料とする植物性プロテインパウダーは、チーズ製造の副産物である乳清(ホエイ)を原料とする製品と比べ、鉛が約3倍、カドミウムが約5倍多く含まれていた。
・オーガニックのプロテインパウダーには、非オーガニック製品に比べて、鉛が3倍、カドミウムが2倍多く含まれていた。
・チョコレート味のプロテインパウダーには、バニラ味の製品に比べて、鉛が4倍、カドミウムが110倍も多く含まれていた。
植物は本来、土壌や水から重金属を吸収するが、産業廃棄物や鉱業、特定の農薬や肥料によって汚染された土壌で栽培された場合、重金属含有量がさらに増加する可能性がある。豊富なフラボノイドと抗酸化物質で知られるダークチョコレートも、鉛やカドミウムを含む重金属の濃度が高くなりやすい。
一方で、今回の調査では良いニュースも報告された。2018年に行われた調査では、調査対象製品の5%からBPAとその類似物質のビスフェノールS(BPS)が検出されたが、今回検査された160製品では、これらの物質が検出されたのは、わずか3製品(約1.9%)のみにとどまった。
これは、消費者の要望とこの化学物質をめぐる論争に対する業界の対応が反映された結果といえる。
植物由来のプロテインパウダーでの汚染レベルが最も高い
今回の調査では、内分泌かく乱物質で汚染されている製品は少なかったものの、重金属については、植物由来のプロテインパウダーでの汚染レベルが最も高く、乳清ベースの製品の汚染レベルは植物由来のプロテインパウダーよりも一貫して低いことが明らかになった。
CLPのエグゼクティブディレクターJaclyn Bowen氏は、今回の調査結果について、「消費者が有害な汚染物質を避けながらプロテインパウダーを選択する際の参考になるかもしれない」と述べた。
また、Bowen氏は、「消費者は健康とパフォーマンスのためにプロテインやサプリメント製品を購入しており、その製品が安全であることを期待している。食品業界はその原材料の安全性について、透明性のある情報を消費者に示す義務がある」とも述べている。(HealthDay News 2025年1月20日)
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引用記事:
プロテインから鉛とカドミウム検出!「チョコ風味」「植物性」「オーガニック」が要注意なワケ…米団体調査 | ヘルスデーニュース | ダイヤモンド・オンライン