2024年の夏ドラマ全話から放送回をランキング!
7月クールに放送された連続ドラマを放送回ごとに集計した「放送回ランキング」のベスト30を見ていこう(朝ドラや夜ドラの帯ドラマは除いている)。
ベスト10中、6位を除いた9本を「ブラックペアン シーズン2」(TBS系)が占めた。
2018年に放送された二宮和也主演ドラマのシーズン2ということでスタート前から注目されていたが、見事期待にこたえた形だ。
そして、最終回の6位を筆頭に、特別編含む13話すべてを24位以内にランクインさせたのが「海のはじまり」(フジテレビ系)。
目黒蓮主演、生方美久脚本×風間太樹監督×村瀬健プロデューサーの『silent』チームが手掛けた月9ドラマで、こちらもまずは合格点というところだろう。
そのほかベスト30には、宮藤官九郎脚本の「新宿野戦病院」(フジテレビ系)や松本若菜主演「西園寺さんは家事をしない」(TBS系)が名を連ねている。
ドラマの全話平均データでは3位以降が接戦に
続いて「ドラマ平均値ランキング ベスト20」を見ていただく。7月クールの連続ドラマを、「リアルタイム視聴」と「録画視聴」の合算ポイント全話平均を集計、高い順に並べたランキングである。
「ブラックペアン シーズン2」が頭一つ抜け出しての第1位、「海のはじまり」がそれに続く2位に入った。それぞれTBSとフジテレビの看板ドラマ枠で、内容も枠のイメージを正しく反映した力作であった。どちらかと言えば、「ブラックペアン」はリアルタイム視聴に強く、「海のはじまり」は録画視聴で地力を発揮した。名実ともに今クールを代表する2作品であった。
3位以降は互いに決め手を欠く接戦となった。中でもダイナミックな動きを見せたのが「新宿野戦病院」で、前掲の放送回ランキングで初回が13位に入りながら、2話が25位。3話以降はさらに数字を下げ、平均値では3位「西園寺さんは家事をしない」の後塵を拝しての4位。5位の「笑うマトリョーシカ」(TBS系)にも差を詰められる形となった。軽快かつ斬新な切り口でハードなテーマを扱い、歯ごたえを感じさせた“宮藤官九郎脚本”ならではのドラマだったが、視聴者が期待していたイメージと違った部分があったのか、各話で大きく数字が上下する結果となった。
例年のことだが、7月クールのドラマは大きな行事に左右される。今年はパリオリンピックがあったし、東京都知事選挙もあった。「27時間テレビ」(フジテレビ系)や「24時間テレビ」(日本テレビ系)もそうだし、MLBのオールスターゲームもこの時期だ。そして暑さも厳しい。落ち着いてドラマを見る環境ではないということで、各局とも編成に苦慮した様子がうかがえるが、その中でベスト5に3作品をランクインさせたTBSはやはり一枚上の底力を示したと言えるし、2位と4位のフジテレビ2作品も確かなクオリティーで結果を残した。形としては、この上位5作が7月クールを代表するドラマだったと言える。
夏ドラマで満足度が高かった作品はどれなのか?
では、クール全体としてはどうだったのか。下記の表は「最終回継続率ランキング」のベスト20である。「最終回継続率」とは最終回のポイントを初回ポイントで割った数値。最終回継続率が高い(=初回に比べて最終回のポイントが高い)ということは作品内容に対する満足度が高い傾向があるのでは、という仮説に基づいた検証である。
最終回継続率が100%を超えている(=最終回の録画視聴ポイントが初回より高い)ドラマは全部で6本。しかも、1位「夫の家庭を壊すまで」(テレ東系)と4位「あの子の子ども」(フジテレビ系)は午後11時台、2位の「広重ぶるう」(NHK総合)は早朝6時台の放送だから、いわゆるゴールデン・プライム帯のドラマで継続率が100%を超えたのは、わずかに「海のはじまり」と「スカイキャッスル」(テレビ朝日系)、「笑うマトリョーシカ」の3本だったということになる。個々の作品としての評価はともかく、クール全体としては、視聴者が継続して視聴した(=満足度が高かった)ドラマは少なかった、いささか低調なクールだったと結論せざるを得ない。
ただ、これだけでドラマ自体の停滞の証とは言えないだろう。朝ドラ「虎に翼」(NHK総合ほか)への高評価や動画配信サービスのオリジナルドラマなどへの注目度を考えれば、ドラマ自体への関心はむしろ高まっているといえるかもしれない。そして10月クールのドラマには、各局の野心や思惑が詰まった力作がそろっている。どんなドラマが私たちを楽しませてくれるのか、新たな指標による毎週のランキングにも注目して、ドラマを楽しんでほしい。
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