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年金について 現状を知っておこう

60歳までに少しでも貯蓄を増やしたいけど、物価高でどうしていけばいいの?

でも実際にはデータ見ると、不安なく暮らしている人が多いらしい。

 

 

2024年9月19日、日本銀行は「2024年第2四半期の資金循環統計(速報)」を公表。これによると、2024年6月末の個人金融資産残高は2212兆円。6四半期連続で過去最高記録を更新しています。

とはいえ、実際に各家計の資産状況が改善されているとは言い切ることはできません。世代を通じて、各世帯の貯蓄額には個人差があります。

今回は、60歳代単身世帯の貯蓄額データをピックアップしてご紹介。

貯蓄額の分布データを見ながら「貯蓄格差」について考えた後、今の60歳代が受け取る年金額や、シニアの就労状況、そして暮らしぶりに関する意識調査の結果についても触れていきます。

1.60歳代の単身世帯はいくら貯蓄があるのか?

まずは60歳代単身世帯の貯蓄額を見ていきましょう。金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査(令和5年)」から、貯蓄額の分布や平均・中央値を見ていきます。

  • 金融資産非保有:33.3%

  • 100万円未満:8.5%

  • 100~200万円未満:4.7%

  • 200~300万円未満:2.8%

  • 300~400万円未満:4.3%

  • 400~500万円未満:2.4%

  • 500~700万円未満:3.5%

  • 700~1000万円未満:2.8%

  • 1000~1500万円未満:6.6%

  • 1500~2000万円未満:4.5%

  • 2000~3000万円未満:8.0%

  • 3000万円以上:15.1%

60歳代単身世帯の平均貯蓄額は1468万円。その一方で、より実態に近い中央値を見ると210万円にまで下がります。

金融資産非保有(=貯蓄ゼロ世帯)が33.3%を占める一方で、1000万円以上を保有する世帯の割合も34.2%、それぞれ同程度存在していますね。200万円未満の世帯が46.5%と、ほぼ半数を占める点も看過できないと言えそうです。

ただし、この時点で貯蓄額が多くても、この先住宅ローンや家賃を払い続ける必要がある人もいるでしょう。また、近いうちに定年退職金や相続などで貯蓄額が引き上がり、いっきに老後資金の不安が解消される人もゼロではないはずです。

資産の状況は人それぞれ。いつまで働き続けるかにも個人差があります。とはいえ、65歳から先の暮らしを支える柱となるのは、一般的には公的年金国民年金・厚生年金)でしょう。

次では、いまの60歳代が受け取る年金額に関するデータを見ていきます。

 

2. 【老齢年金一覧表】60歳代は国民年金を平均いくらもらっている?《60歳~69歳》

まずは国民年金の受給額の平均から見ていきます。

国民年金(基礎年金)は、日本に住む20歳以上60歳未満の全員に納付義務があります。年金保険料は全員定額(2024年度月額:1万6980円)。全期間(480カ月)年金保険料を納めた場合、老後に満額(2024年度月額:6万7808円)を受給できます。

60歳から69歳までの、各年齢の平均月額は以下の通りです。

  • 60歳:4万2616円

  • 61歳:4万420円

  • 62歳:4万2513円

  • 63歳:4万3711円

  • 64歳:4万4352円

  • 65歳:5万8070円

  • 66歳:5万8012円

  • 67歳:5万7924円

  • 68歳:5万77222円

  • 69歳:5万7515円

一般的な受給開始年齢である65歳以上の平均月額を見ると、いずれの年齢も約5万8000円ですね。

一方、60歳~64歳で「繰上げ受給」をした場合はいずれの年齢でも平均4万円台。本来の受給額から繰下げ月数に応じて減額されるため、年金月額は低くなるのです。60歳と65歳を比較すると1万5000円ほど差があります。

資金状況によっては、繰上げ受給は貴重な助け舟となり得ます。しかし、繰上げ受給で適用された減額率は「生涯」続くことも忘れてはならないでしょう。65歳になったから本来の受給額に戻るわけではないのです。

この毎月1万500円ほどの差額がその後長い間積み重なると考えてみましょう。年金受給スタートのタイミングは慎重に判断していく必要があることが分かりますね。

次は、厚生年金についても見ていきます。

3.【老齢年金一覧表】60歳代は厚生年金を平均いくらもらっている?《60歳~69歳》

 

では次に、厚生年金(国民年金含む)についても見ていきましょう。

厚生年金とは、会社員や公務員などのサラリーマンが、国民年金に上乗せして加入する年金です。老後は国民年金と厚生年金の併給となります。

保険料が全員定額だった国民年金とは異なり、厚生年金は収入によって保険料が決まります。「厚生年金加入月数+その期間の稼ぎ」が老後の年金収入に直結する点が大きな特徴と言えるでしょう。

60歳から69歳までの、各年齢の平均月額は以下の通りです。

また、ここで紹介する厚生年金の年金月額には国民年金の月額部分も含まれます。

3.1 60歳代:厚生年金の平均月額(1歳刻みで見る)

  • 60歳:9万4853円

  • 61歳:9万1675円

  • 62歳:6万1942円

  • 63歳:6万4514円

  • 64歳:7万9536円

  • 65歳:14万3504円

  • 66歳:14万6891円

  • 67歳:14万5757円

  • 68歳:14万3898円

  • 69歳:14万1881円

一般的な受給開始年齢である65歳以降を見ると、いずれの年齢でも平均月額は14万円台。国民年金のみを受給する場合よりも年金水準が高いことは確かです。とはいえほとんどの場合、現役時代よりも少ない収入となることが考えられます。

総務省統計局「家計調査報告 家計収支編 2023年(令和5年)平均結果の概要」によると、65歳以上無職単身世帯のひと月の消費支出(※1)は14万5430円、非消費支出(※2)は1万2243円。

公的年金だけで悠々自適な暮らしができる人は、決して多数派ではないことが推測できますね。

毎月の赤字をカバーするために働き続けるという人もいるでしょう。次章では、60歳代の就業率についてデータを見ていきます。

※1:食費や住居、光熱費などのいわゆる「生活費」
※2:税や社会保険料

4. 60歳代で働いているシニアはどれくらい?

 

厚生労働省職業安定局が2024年6月24日に公表した「高齢者雇用対策の概要」から、シニアの就労状況をのぞいてみましょう。

2023年時点での就業率は、60~64歳で74.0%、65~69歳で52.0%です。「やりがい」「健康維持」など還暦以降も働く理由は人それぞれですが、暮らしにゆとりを持たせるために仕事をする人が一定数含まれていることは確かでしょう。

「年金だけではギリギリ」「想定外に低年金だった」といった場合、やはり勤労収入を確保できれば安心感に繋がるはずです。

 

次では、60歳代の暮らしぶりに関する意識調査の結果を見てみましょう。当事者であるシニア世代たちはどのような実感を持っているのでしょうか。

 

5. 60歳代で経済的にゆとりがある人の割合は?


前項までは60歳代の貯蓄事情や公的年金、そしてシニアの就労状況に関するデータを眺めてきました。ここからは当事者であるシニア世代たちが、暮らしぶりについてどのような実感を持っているかものぞいてみましょう。

 

5.1 【高齢者】経済的不安を感じる60歳代(65歳以上)は3割程度に

 

5.2 65歳以上の者の経済的な暮らし向き(択一回答)
65~69歳(n=484)
家計にゆとりがあり、まったく心配なく暮らしている:14.5%
家計にあまりゆとりはないが、それほど心配なく暮らしている:50.8%
家計にゆとりがなく、多少心配である:27.5%
家計が苦しく、非常に心配である:6.8%
不明・無回答:0.4%


内閣府「令和6年版 高齢社会白書」では、65歳以上の人に「経済的な暮らし向き」についての設問があります。これによると、65~69歳のうち、34.3%の人が「家計にゆとりがなく、多少心配である」または「家計が苦しく、非常に心配である」と回答しています。

 

一方で「家計にあまりゆとりはないが、それほど心配なく暮らしている」という人は50.8%とほぼ半数。家計の収支を把握し、限られた生活費の中でやりくりする意識を持っていることが垣間見えます。

 

シニアが働き続ける環境の整備がすすむこんにち。65歳を過ぎても働き続ける人は今後も増えていくでしょう。ただし、現役時代とは異なり健康面との相談となるケースも出てくることが考えられますね。

そこで大切になるのが、貯蓄を増やす、年金以外の収入源の確保するといった準備でしょう。単身世帯であれば、介護を家族や親族以外の人にお願いする時期が早まる可能性も意識しておけたらよいですね。

 

6. 現役世代の今のうちにどれだけ準備できるかがカギ


今回は、60歳代単身世帯の貯蓄事情、そして平均的な年金額、就業率などのデータを見た後、老後の暮らしぶりに関する意識調査の結果ものぞいてみました。

一般的には、老後は現役時代よりも少ない収入でやりくりする必要があります。単身世帯であれば特に、日常生活にの他に、健康面や認知面が低下したとき、適切な医療や介護を受けることができるよう、準備をしておけたらよいですね。

ライフスタイルや健康状態などにより、老後に必要となるお金には個人差があります。とはいえ、ときに数千万円とも言われる老後資金は、一朝一夕で準備しきれるものではないはずです。働き盛りの現役世代のうちに、どれだけ対策を準備できるかがカギになってくるでしょう。

 

銀行などの預貯金をしっかり増やすことは大切ですが、現状の金利を考えると、大きく資産を増やすことには繋がりにくいです。そこで検討してみたいのが資産運用でお金を育てる発想。NISAやiDeCo(イデコ:個人型確定拠出年金)などの税制優遇制度の活用を考えるのも良いでしょう。

預貯金とは異なり、資産運用にはリスクがつきものです。最適な運用スタイルは人それぞれ。まずは情報収集からスタートしてみましょう。

また、還暦を過ぎると健康面での問題が出てくる人も増えるでしょう。規則正しい生活やバランスのとれた食事などは、元気な老後を過ごすための準備の一つと言えるでしょう。

長寿時代には、資産の寿命と健康寿命をセットで延ばす視点が求められます。貯蓄も健康も、日ごろのコツコツとした積み重ねによるところが多いでしょう。ゆとりあるセカンドライフのために、できることから始めてみませんか?

 

7.1 年金の主な種類と仕組みは?

 

日本の公的年金は「国民年金」と「厚生年金」の2階建て構造になっています。

国民年金は日本国内に住む20歳以上60歳未満の全ての人が加入する基礎年金で、厚生年金は会社員や公務員が加入するものです。
国民年金は一定の保険料を納付し、将来の年金額が決まるのに対し、厚生年金は収入に応じた保険料を支払うため、将来の受給額にも差が出ます。

 

7.2 「繰下げ受給」とはどんな制度?


年金の受給開始年齢を遅らせることで、受給額が1カ月につき0.7%増える「繰下げ受給」があります。

例えば、65歳から受給を開始する予定を75歳0カ月まで繰り下げると、84%増額となります。これは、長期間働くことができる人や、他の収入源がある人にとって有利な選択肢となります。

7.3 年金を増やす方法はあるのか?


年金を増やす方法はいくつかあります。自営業やフリーランスの方は、国民年金の付加保険料を支払うことで、将来の受給額を増やせます。

また、厚生年金に加入する働き方に切り替えることも一つの方法です。

さらに、老後資金を増やすという意味では、投資信託iDeCo(個人型確定拠出年金)などを利用して、自身で資産運用を行うのも選択肢です。ただし、運用にはリスクがあることに注意が必要です。

 

引用記事:

60歳代【おひとりさまの貯蓄格差】平均・中央値と個人差を円グラフで見る (LIMO[リーモ])